1960年、吉村益信を中心に結成された前衛芸術グループ「ネオ・ダダ(ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ)」。同グループは、磯崎新設計による吉村の自邸「ホワイト・ハウス」を拠点に、従来の芸術概念を打ち壊すような過激なアクションやパフォーマンス、廃品を用いた作品などで美術界に衝撃を与え、1年にも満たない短い活動期間でありながら、反芸術の旗手たちとして脚光を浴びた。
現在、東京・銀座のギャラリー58では、「ネオ・ダダの痕跡」と題して、ネオ・ダダのメンバーであった赤瀬川原平(1937~2014)、風倉匠(1936~2007)、篠原有司男(1932~)、田中信太郎(1940~2019)、吉野辰海(1940〜)の作品38点を展示中(~4月4日)。初公開となる赤瀬川の60年代のペン画12点をはじめ、風倉と田中の金属を用いた平面作品、そして篠原と吉野の最新作を通覧できる。
グループ解散から数十年を経て、リーダー的存在であった吉村益信が「ネオ・ダダは短期解体によって持続運動に生まれ変わったといえないか」、そして赤瀬川が「未知のエネルギーや形態を見たいという気持ちはネオ・ダダの頃と同じだと思う」と語るように、それぞれの作品のなかでネオ・ダダの精神は、深い余韻となって生き続けているのだ。