EXHIBITIONS

若冲誕生 〜葛藤の向こうがわ~

2020.03.28 - 07.26

伊藤若冲 蕪に双鶏図 江戸時代

伊藤若冲 群鶏図押絵貼屏風(左隻)

伊藤若冲 群鶏図押絵貼屏風(右隻)

伊藤若冲 仔犬図

伊藤若冲 玉蜀黍図

 江戸中期に活動した天才絵師・伊藤若冲(1716〜1800)。若冲は、京都錦小路にある青物問屋「枡屋」の長男として生まれ、23歳のとき、亡くなった父に代わり家業を継いだ。30代で家業の傍ら描いた絵からは、独自の感性による表現を見ることができる。

 家業を続けるが、絵に専念するかという葛藤に苦しんでいた若冲を解放したのは、その才能を見出し、精神的に支えた大典顕常をはじめとする禅僧や支援者たち。後押しを受けて、若冲はようやく40歳で家業を弟に譲り、絵を描くことに専念した。

 若冲は代表作である極彩色の《動植綵絵》(30幅)を、隠居後の42歳頃からおよそ10年をかけて制作。同時期に多くの水墨画にも取り組んだ。その後、版画の技法による《乗興舟》を手がけるなど、85歳で亡くなるまで新しい技法や表現を探求し続けた。いっぽう、近年の記録からは、営業停止になった錦小路市場を再開するため、若冲が先頭にたって交渉にあたるなど、絵のみを描いていたわけではないことが判明している。

 本展では、若冲30代の初期作品《蕪に双鶏図》を初公開。初期から晩年までの作品と若冲に影響を与えた禅僧や画家たちを取り上げ、若冲作品の魅力とその背景に迫る。また、曾我蕭白円山応挙など、個性あふれる同時代の画家たちの作品も展示し、若冲の生きた18世紀京都画壇の秀作を紹介する。

※福田美術館は5月23日より開館。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う臨時休館を受けて、本展の会期を7月26日まで延長。詳細は公式ウェブサイトにて案内。