EXHIBITIONS

大竹富江

2025.11.04 - 2026.02.11

Ohtake, Tomie Untitled 1983 oil on canvas
59-1/8" × 59-1/8" (150.2 cm × 150.2 cm) 59-1/4" × 59-1/4" × 1-1/2" (150.5 cm × 150.5 cm × 3.8 cm), frame
©Tomie Ohtake, courtesy Artist’s Estate and Nara Roesler Gallery

 Pace 東京で、大竹富江の個展が開催されている。

 本展では、Paceの麻布台ヒルズギャラリーの1階と2階にわたり展示され、大竹の1963年から2013年にかけて制作された作品を、マリーナ・ペレス・シマオによる新作絵画と対話を生み出すかたちで紹介。日本からブラジルに帰化した大竹は、その独創的な抽象表現を通して、ブラジルにおけるモダニズムに新たな表現を切り拓いたアーティストである。

 大竹の絵画と彫刻の展示では、20世紀ブラジル美術のなかでもとくに濃密な時期において、大竹が築き上げた実験的で革新的な実践に焦点を当てる。1913年に京都で生まれた大竹は、36年にブラジルに移住し、同国を代表する抽象芸術家のひとりとなった。絵画、版画、彫刻などの幅広いメディアを横断しながら、形式的な厳密さを追求すると同時に、偶然性や驚きの要素が作品に込められているという。また、地質学的・宇宙論的な現象やブラジルの広大な自然風景や地形を、有機的なフォルムと構造的な幾何学を組み合わせながら描き出した。

 本展では、8点の絵画作品と自立型の彩色スチール彫刻を展示。絵画作品は、1963年から2004年にかけて制作されたもので、大竹の色彩、質感、フォルムの探求の軌跡をたどる。また、2013年に制作されたチューブ状の彫刻は、シンプルなフォルムに連続的で流動的な動きを吹き込んでいる。さらに、Pace 東京から近い、アークヒルズ仙石山森タワーの足元に設置された、⻩色いリボンを模した屋外彫刻《インフィニティ》は、パブリックアートと都市空間における大竹の永続的な影響力を体現する作品となっている。

 今回の展示を通じて、大竹とシマオ、それぞれのルーツと、抽象表現や風景画に対する独創的なアプローチを通じて結びつけられたふたりのアーティストによる、世代を超えた対話を見ることができるだろう。