EXHIBITIONS

マリーナ・ペレス・シマオ

2025.11.04 - 2026.02.11

Simão, Marina Perez Untitled / Sem Título 2025
oil on linen 80 cm × 100 cm (31-1/2" × 39-3/8") TBD No. 95592
©Marina Perez Simão, courtesy Pace Gallery.

 Pace 東京で、マリーナ・ペレス・シマオによる個展が開催されている。

 本展では、Paceの麻布台ヒルズギャラリーの1階と2階にわたり展示され、シマオによる新作絵画を、大竹富江の1963年から2013年にかけて制作した作品と、対話を生み出すかたちで紹介。

 油彩、水彩、版画の制作で知られるブラジル人作家のシマオにとって、日本での初個展となる本展では、風景からインスパイアされた新作シリーズを公開。シマオの作品は、感情や記憶、場所との関わりをパーソナルな視覚言語を通して表現している。その制作プロセスは、ドローイングと水彩に始まり、そこで生まれたアイディアやフォルムをもとにキャンバスの上で構図をつくり上げている。また、シマオは自身に重要な影響を与えた存在として大竹を挙げており、現在サンパウロのトミエ・オオタケ研究所で10月まで個展を開催していた。

 今回、Pace 東京で展示される絵画の数々は、言語を超えて思想や概念、感情を伝える抽象表現に対するシマオの、持続的な関心を示すものであるという。2024年から25年にかけて制作されたこれらの絵画作品では、空間の新しい読み解き方を提案すべく、縦型や横型のフォーマットが実験的に用いられた。

 新作では、藍色を基調に、赤やピンクの色合いを組み合わせたもので、全体を通して色彩的なつながりを表現している。藍色の採用は、日本における数世紀の藍染めの伝統に対する敬意の表れだという。シリーズごとにつねに異なる方向へと実践を拡張していくシマオは、色調や筆致を通してダイナミックな絵画を生み出しており、今回の展示では大小様々なスケールで描かれた最新作を展示し、新たな視点で風景を体感することを促す。

 今回の展示を通じて、シマオと大竹、それぞれのルーツと、抽象表現や風景画に対する独創的なアプローチを通じて結びつけられたふたりのアーティストによる、世代を超えた対話を見ることができるだろう。