「ブラジル先住民の椅子」展が埼玉県立近代美術館に巡回。自然主義的でユニークな造形に人間の想像力を見る

ブラジル北部に暮らす人々による椅子の数々を紹介する「ブラジル先住民の椅子」展が、東京都庭園美術館から埼玉県立近代美術館に巡回する。会期は4月6日〜5月19日。

ウルフ作 アリクイ (メイナク)

 南米大陸、ブラジル北部のアマゾン川やシングー川流域で暮らす先住民の人々がつくる一木造りの椅子にスポットを当てた展覧会「ブラジル先住民の椅子」が、埼玉県立近代美術館に巡回する。

 先住民の人々がつくる椅子は、動物を模したものから機能的なフォルムを持つもの、独特な幾何学模様が施されたものまで様々で、ユニークな造形作品として捉えることができる。彼らにとって椅子は、日常生活のなかで使用したり、儀式や結婚などの特別な機会に用いたり、生活や伝統、独自の神話と結びついたコミュニティの文化的・社会的なシンボルであった。

カナリ作 ホウカンチョウ (クイクロ)

 そして今日、先住民の人々はコミュニティの外との繋がりに刺激を受け、用途や伝統に縛られないより多様で自由な表現を生み出している。本展ではベイ・コレクションから、こうした多種多様なブラジル先住民の椅子約90点を紹介する。

 ベイ・コレクションとは、ブラジル・サンパウロに拠点を持つ出版社が所蔵する、先住民による椅子のコレクションのこと。ベイ出版は15年以上前から椅子の収集をはじめ、いまや300点を超えるコレクションを有する。同社は、先住民の人々による造形をブラジル独自の現代的表現として捉え、その造形美を評価・普及することを目的としてきた。

マワヤ作 サル (メイナク)

 独自の感性から生み出される造形に、人間の豊かな想像力の発露を読み取ろうとする本展。伝統的なものから独創的なものまで、ブラジル先住民による知られざる椅子の世界を楽しみたい。

編集部

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