EXHIBITIONS
2024年度申請展
ダイヤモンドから夢を放つペルセウス
京都市立芸術大学ギャラリーで「ダイヤモンドから夢を放つペルセウス」が開催されている。出展作家は、阪本結、下村悠天、橘葉月、西原彩香、峰松沙矢。
以下、美術批評家・飯盛希による展覧会ステートメントとなる。
「本展覧会は、美術史家・岡田温司著『半透明の美学』をきっかけとして、現代(とくにコロナ禍を経たいま)における絵画の意味を再考しようと構想されたものです。絵画という画像の形式は『媒介性』にこそ本質があるのだとしたら、『鏡』『痕跡』『灰色』『2次元と3次元』『実在と存在』のあいだ、そして『天使』。様々なテーマが『半透明』というキーワードによって貫かれていると言えます。ひいては、視覚というもの自体の『媒介性』が、絵画という『半透明』なイメージの在り方と深く関係しているのかもしれません。
スマートフォンやパソコンの画面を介して遠く離れた人や場所のことを見るように、普段は意識していなくても、私たちは必ず何かを通して見ています。ものを"直接"見ているということはありません。それは(あるいは比喩として)『窓』や『眼鏡』などを通して見るといったことだけではなく、そもそも私たち自身の『目』を介して見ているからです。ならば、『見る』ということについて改めて考えることは、私たち自身について考えることにほかなりません。
絵画を見るとき、問題になるのは私たちの視点です。すなわち、知識や経験など『見かた』に影響を及ぼしているもの、例えば、自分が生まれ育った時代や地域について顧みることにもなるでしょう。本展のタイトルは、島谷ひとみの楽曲『Perseus-ペルセウス-』から引用しました。平成という時代を象徴するような歌詞であると同時に、まなざしの対象を石化させてしまうというメドゥーサを退治したペルセウスが、視覚という幻想の媒体として称揚する『半透明』なそれは、絵画そのものを象徴しているのかもしれません」(展覧会ウェブサイトより)。
以下、美術批評家・飯盛希による展覧会ステートメントとなる。
「本展覧会は、美術史家・岡田温司著『半透明の美学』をきっかけとして、現代(とくにコロナ禍を経たいま)における絵画の意味を再考しようと構想されたものです。絵画という画像の形式は『媒介性』にこそ本質があるのだとしたら、『鏡』『痕跡』『灰色』『2次元と3次元』『実在と存在』のあいだ、そして『天使』。様々なテーマが『半透明』というキーワードによって貫かれていると言えます。ひいては、視覚というもの自体の『媒介性』が、絵画という『半透明』なイメージの在り方と深く関係しているのかもしれません。
スマートフォンやパソコンの画面を介して遠く離れた人や場所のことを見るように、普段は意識していなくても、私たちは必ず何かを通して見ています。ものを"直接"見ているということはありません。それは(あるいは比喩として)『窓』や『眼鏡』などを通して見るといったことだけではなく、そもそも私たち自身の『目』を介して見ているからです。ならば、『見る』ということについて改めて考えることは、私たち自身について考えることにほかなりません。
絵画を見るとき、問題になるのは私たちの視点です。すなわち、知識や経験など『見かた』に影響を及ぼしているもの、例えば、自分が生まれ育った時代や地域について顧みることにもなるでしょう。本展のタイトルは、島谷ひとみの楽曲『Perseus-ペルセウス-』から引用しました。平成という時代を象徴するような歌詞であると同時に、まなざしの対象を石化させてしまうというメドゥーサを退治したペルセウスが、視覚という幻想の媒体として称揚する『半透明』なそれは、絵画そのものを象徴しているのかもしれません」(展覧会ウェブサイトより)。