国立西洋美術館で、ルネサンスから19世紀末までの600年にわたる西洋美術の歴史をサンディエゴ美術館と国立西洋美術館のコレクションから紹介する展覧会「西洋絵画、どこから見るか?─ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」が開催される。会期は2025年3月11日~6月8日。本展監修は、マイケル・ブラウン(サンディエゴ美術館 学芸員)、川瀬佑介(国立西洋美術館 学芸員)。
1926年、カリフォルニア州の最南端に開館したサンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初にヨーロッパ古典絵画を収集・展示した美術館として知られている。同地はもともとスペインからの植民者によって築かれてきた街であり、アメリカで人気の高い初期ルネサンス絵画に加えてサンディエゴと関連したスペイン美術の優品が収蔵されている。そのコレクションを築いてきたのは、アン・パットナム、エイミー・パットナム姉妹によるものだ。
いっぽうの国立西洋美術館は1959年に開館。19世紀のフランス美術がメインの松方コレクションがその核となっており、68年以降は古典絵画の購入も開始され現在に至っている。
本展は「作品をどのように見ると楽しめるか」という観点からコレクション88点(サンディエゴ美術館から49点、国立西洋美術館から39点)を展示。関連する作品がペアや小グループごとに紹介されており、鑑賞者はこれらを比較しながら様々な角度で絵画の持つストーリーを深掘りすることができる仕立てとなっている。
出展作品のなかでもとくに注目したいのが、マリー=ガブリエル・カペと、マリー=ギユミーヌ・ブノワといった2人のフランス人女性画家による肖像画の比較や、人物のリアリティさのみならずその空気感までを描き出したイタリア人画家のジョルジョーネによる作品群。スペイン人画家フアン・サンチェス・コターンによる静物画(ボデゴン)、カトリック聖人像を数多く描いたスペインのスルバランなどだ。
これらに付随し、本展ではそれぞれのコレクションがどのようなアイデアに基づいて収集されてきたのかという視点からも紹介され、各館の歴史を紐解くきっかけにもつなげるという。
なお、国立西洋美術館の常設展ではサンディエゴ美術館からの借用作品5点も展示されるほか、2025年6月25日〜10月13日には京都市京セラ美術館にも巡回予定となっている。
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