EXHIBITIONS

頭山ゆう紀|残された風景

2025.01.11 - 02.23

©Touyama Yuhki『残された風景』より‬

 POETIC SCAPEで、頭山ゆう紀による個展「残された風景」が開催されている。

 頭山は、これまで『境界線13』をはじめ、大切な人の生と死、喪失、不在や、目に見えないものを写真にとどめるように制作を続けてきた。近年では「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023」で、石内都との二人展「透視する窓辺」を開催し、その活動が注目されている。

「残された風景」シリーズは、頭山が祖母の介護の合間に撮影した風景写真と、祖母に寄り添う目線のモノクロ写真で構成されたものだ。頭山は幼い頃から頻繁に祖母に会いに行き、「お喋り好きでお洒落、何よりも理解力のある人だった」という祖母とは「一般的な祖母と孫との関係とは違う、もっと身近な関係だったように思う」(『残された風景』テキストより)と述べている。

 2020年9月、末期の癌と診断された祖母の在宅介護を頭山は引き受け、献身的に尽くした。次第に思うようにいかない介護や終末医療の現実に直面するなか、日々のわずかな時間に写真を撮ることで、救われたり気持ちを切り替えることができたと頭山は語っている。

 本展の核となるモノクロ写真は、祖母が亡くなる1ヶ月ほど前から撮影されたものとなっている。この撮影は、頭山が介護を続ける毎日のつらさに家を飛び出したある時、ロバート・アダムスの写真集『This day』を見たことがきっかけであった。日常風景を新たな視点でとらえた作品に改めて感銘を受け、家から出られず幻覚も見るようになっていた祖母に寄り添いたいという思いで、窓からの風景を撮ることとなる。