ピウス・フォックス「Cover and Recover」

　104GALERIEで、ピウス・フォックスによる個展「Cover and Recover」が開催されている。

　本展では、パステル画を中心とした小作品、また過去の展示から継続して紹介されるアルミニウムマウントのペインティング、そしてキャンバス作品約30点の新作を展示。

　フォックスの幾何学的に構築された表現は、実在するもののかたちや仕組みにもとづいている。しかし、それはたんに視覚的な情報にとどまらず、フォックス自身の思考を通すことによって、物語を連想させるイメージを生み出している。作品は、絵具の層を塗り重ねたのち、引っ掻いたり削ったりすることで現れる複雑なレイヤーでできており、奥行きを創造している。

　本展で中心となる抽象的な印象の作品の合間には、鳥のモチーフや石膏像、建築物などの具象作品が差し込まれるように置かれ、それらからもフォックスの作品の対象物や主題への視点や考察が感じられる。