吉川静子は1934年福岡県生まれ。スイス・チューリッヒを拠点とし、西洋伝統的文化のなかで日本の感性を活かすような表現を模索。幾何学の合理的原則を用いて、日本人であるアイデンティティから根ざした詩的な純粋さと軽快さをつなぎ合わせるような作品を制作してきた。
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ヨーロッパでの活動のきっかけは、60年に東京で開催された世界デザイン会議の通訳を務めた際の、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンら、ヨーロッパのモダニズムの牽引者たちとの出会い。その翌年にドイツ・ウルム造形大学へ留学し、63年にはスイスのミューラー=ブロックマンのスタジオへ参加するなど、スイス構成主義やコンクリート・アートの精神を持つアーティストとして活動を始め、現在まで精力的に活動を続けている。
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本展は、吉川の半世紀以上にわたる活動をまとめた作品集『shizuko yoshikawa』の出版記念展として、パブリッシャーでグラフィックデザイナーのラース・ミューラーの企画により開催。吉川の日本での個展は約30年ぶりとなる。
吉川の来歴、そして、芸術的観察が進化しうる形而上学的領域を探し続けるという制作への態度を暗示する「私の島は何処」という展示タイトルのもと、約25点の作品を展示し、吉川の活動を改めて日本の観客に紹介する。
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