EXHIBITIONS

ジョニー・アブラハムズ「24 Colors for Junichi」

2024.08.31 - 10.12

Johnny Abrahams Diptych(installation view)

 MAKI Galleryで、ロンドンを拠点に活動するアーティスト、ジョニー・アブラハムズによる日本初個展「24 Colors for Junichi」が開催されている。

 アブラハムズによる抽象画は、形と色彩による構図の追求のようでありながら、目の前で作品に対峙すると素材の質感が感じられ、本来触れることでしか感じられない感覚を呼び起こす深みを持つ。

 アブラハムズが絵画において目指すのは完璧さの追求ではなく、作家の意図に偶然性が掛けあわされることで思いがけず生じる予測不能な事態を引き出すことにある。その過程で作家は自身の行動や感情の痕跡を残し、描かれた幾何学的な形をより身近で、関わりあうことのできる存在へと変化させることに成功している。

 アブラハムズの活動は、科学、とくに元素の創造過程に対する深い関心に根ざしている。物質の起源、物質世界の構成や認識についての探求がアブラハムズの作品に大きな影響を与えているという。物質が誕生する際に光が生まれる事実に触れ、作家は「物質の創造がその物質を知覚するための光を生み出すという現象は、私にとって非常に詩的で大きなインスピレーションを与えてくれるものです。私はつねに自分が描く形同士の関係を、物質創造の瞬間のメタファーとしてとらえてきました」と述べている。