後藤夢乃「Frangere Magna Caelum」

　Tokyo International Galleryで、後藤夢乃による個展「Frangere Magna Caelum」が開催されている。

　後藤は、神話や伝承、タロットをもとに作品制作を行い、長い歴史のなかで虐げられてきた人々の悲しみを描いている。その悲しみを紡いでいくための制作を、後藤は「いまよりも先に続く世界への橋渡し」と表し、苦しみ抗う女性たちへの救済の意を込めて制作し続けている。錬成された物質感のある後藤の作品は、隆起した絵の具が現実世界へ迫り出しているようだ。

　本展では、「Frangere Magna Caelum（偉大な空を砕く）」と題し、これまで描いてきたヌードという象徴から女神や母といった大きな存在へ拡張し、隠すことや纏い直すことの意味を問いながら、神話へのリベンジとしての再創造に挑む。