コレクション展2024－夏　特集：旅する美術

　和歌山県立近代美術館で「コレクション展2024－夏　特集：旅する美術」が開催されている。

　同館は、1963年に和歌山城内で開館した和歌山県立美術館を前身として、1970年11月に、国公立としては日本で5番目の近代美術館として和歌山県民文化会館の1階に開館。1994年には黒川紀章の設計による現在の建物へ移転し、展示・保存環境を拡充させたミュージアムとしての活動を続けている。

　コレクション展では、開館以来の活動を通じて築いてきた1万点を超えるコレクションから作品を選び、およそ季節ごとに展示替えを行いながら、和歌山ゆかりの作家を軸とした近現代美術の流れを中心に特集コーナーも設け、コレクションの特色と多様な美術表現を展覧してきた。

　今期の展示は、「旅する美術」がテーマだ。観光、仕事、勉強など、私たちが旅に出る理由は様々だが、美術家も予期せぬ出会いや新鮮な体験から作品を生み出す着想を得るため、数多くの旅に出てきた。また、旅することを表現要素として取り込んだ作品も生まれている。

　2020年から約3年間、私たちは新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなって、旅に出られない、あるいは出るのが難しい日々を過ごした。移動に関する様々な制限が解除されたのは、わずか1年と少し前のことだ。旅のない日々を過ごしたいまだからこそ、改めてその意味を考える手掛かりとして、旅と美術表現の関わりを紹介する。