EXHIBITIONS

平野愛 写真展「moving days in KCUA」

平野愛

 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで、平野愛による写真展「moving days in KCUA」が開催されている。

 本展に寄せて、企画を担当した同大学美術学部油画専攻特任教授の谷本天志は次のように述べている。

「平野愛は、人生の節目に訪れる『引っ越し』という祝祭/儀式を、そのストーリーを綴ったテキストと、繊細な色合いのフィルム写真でとらえる『moving days』シリーズを展開している京都生まれの写真家だ。

 同シリーズは2023年に誠光社から書籍が刊行され、これを機に平野のもとには多くの引っ越し写真撮影の依頼が舞い込んだ。そのなかのひとつであった京都芸大の引っ越しという大規模なプロジェクトでは、当初は、どこから手をつけていいかもわかないほどに雑多な人種の異質な要素が詰まった空間に困惑したそうだ。しかし、多くの引っ越しに立ちあい、撮影してきた平野ならではの感度で、パワーの集う場所を嗅ぎわけながら、学生や教職員が眺めたであろう風景や使用されたものの痕跡などがフィルムカメラで次第に切りとられていった。

『引っ越しには人や場所の自然体の本質が見えてくる。その人が何を大切にしているのか、その場所が本来持っていた姿が現れてくる。引っ越し写真を見直しているとそれが「はじまり」の場面なのか「おわり」なのかわからなくなる瞬間がある』と平野は話す。だとすれば、京都芸大の引っ越し写真にも学生や教職員が大切にしてきたもの、築きあげてきたものの本質と未来が写っているのかもしれない」(展覧会ウェブサイトより)。