奥村彰一「Tropical Escape」

　CANDYBAR Galleryで、奥村彰一による個展「Tropical Escape」が開催されている。

　奥村彰一は1989年北京生まれ、東京都出身。大学で日本画を学び、在学中に中国へ留学。そのなかで、中国画を学ぶと同時に中国の伝統文化の奥深さにも関心を持った。奥村の描く画面のなかには中国画の技法のほかに、山水画の描かれた屏風や壺など中国文化を想起させるものも多く描かれ、また、同じ画面には、80年代、90年代を思わせるような衣服を身につけた人物や乗り物や小物などもとらえられる。

　奥村の作品は、リズミカルに無重力の中を漂うような姿で描かれる人物や、生命力に満ち溢れる多彩な花や植物が特徴的だ。絹本に岩絵具という日本画の技法で描くなか、描線は中国画の特徴である抑揚のついた墨の線で描いている。岩絵具では混色や重彩をせず、画面上でのコントラストを活かし表現された独特かつ色鮮やかな色彩が画面に展開される。

　多くの世界観を反映し描かれた画面のなかには、色面に流れる独自の空気感と余白が生み出すしなやかなリズムが流れる。本展では、新作を中心とした作品を展示。