EXHIBITIONS
髙畠依子「LINE(N)」
シュウゴアーツで、髙畠依子による個展「LINE(N)」が開催される。
髙畠の仕事は、素材と構造という二つの側面からとらえることができる。ここ数年、風・水・火・磁力といった自然の力を用いて、油絵具を様々に変容させる制作手法が注目されてきた。そして髙畠作品の場合、素材の変化が絵画構造そのものへ影響を与える。
例えば「MARS」シリーズ (2020)は油絵具に砂鉄を混ぜ、キャンバス裏から強力な磁力を動かすことで、絵具が磁力の法則によって引っ張られ、隆起したり、弧を描いたりして絵画を形成した。また「CAVE」シリーズ(2022)ではキャンバスそのものに糸を結んで不均一な形状をつくり、それを漆喰に何度も浸すことで鍾乳洞のように凹凸が成長し、洞窟の壁面のような不可思議な表面を出現させた。
このように髙畠は素材の物質的な現象を通して、絵画を平面的なとらえ方から拡張させ、物理的な空間を持つ存在へと展開してきた。
本展では力学を用いた二つの展開をみせる。「CANVAS」シリーズは「CAVE」から継続し、支持体そのものへアプローチする。髙畠は黄麻を用いて独自にキャンバスを平織りし、その織り目の線に沿って面を形づくっている。
また、麻に顔料や色土といった素材を混ぜ、円運動の力で球体にする作品など、素材と構造がより強固に結びついた一連の作品を発表する。「LINE(N)」シリーズは糸を撚ったり、巻き取ったりする際に生じる回転や重力の原理を用いてつくられている。キャンバスを巻きつけた円柱を天井から紐で吊るし円運動させることで、たった一本の線によって新しい空間を生み出す手法を見出した。
髙畠の仕事は、素材と構造という二つの側面からとらえることができる。ここ数年、風・水・火・磁力といった自然の力を用いて、油絵具を様々に変容させる制作手法が注目されてきた。そして髙畠作品の場合、素材の変化が絵画構造そのものへ影響を与える。
例えば「MARS」シリーズ (2020)は油絵具に砂鉄を混ぜ、キャンバス裏から強力な磁力を動かすことで、絵具が磁力の法則によって引っ張られ、隆起したり、弧を描いたりして絵画を形成した。また「CAVE」シリーズ(2022)ではキャンバスそのものに糸を結んで不均一な形状をつくり、それを漆喰に何度も浸すことで鍾乳洞のように凹凸が成長し、洞窟の壁面のような不可思議な表面を出現させた。
このように髙畠は素材の物質的な現象を通して、絵画を平面的なとらえ方から拡張させ、物理的な空間を持つ存在へと展開してきた。
本展では力学を用いた二つの展開をみせる。「CANVAS」シリーズは「CAVE」から継続し、支持体そのものへアプローチする。髙畠は黄麻を用いて独自にキャンバスを平織りし、その織り目の線に沿って面を形づくっている。
また、麻に顔料や色土といった素材を混ぜ、円運動の力で球体にする作品など、素材と構造がより強固に結びついた一連の作品を発表する。「LINE(N)」シリーズは糸を撚ったり、巻き取ったりする際に生じる回転や重力の原理を用いてつくられている。キャンバスを巻きつけた円柱を天井から紐で吊るし円運動させることで、たった一本の線によって新しい空間を生み出す手法を見出した。