EXHIBITIONS

千賀健史「まず、自分でやってみる。」

2024.03.06 - 04.14

千賀健史(左から)《まず、自分でやってみる。(A)》2023、《まず、自分でやってみる。(B)》2023、《まず、自分でやってみる。(D)》2023

 BUGで、千賀健史による個展「まず、自分でやってみる。」が開催されている。本展は、BUGの活動方針のひとつである"キャリアの支援"にもとづき、更なる発展を目指すアーティストに対し、その足がかりとなることを目的とした展覧会だ。

 千賀健史は、2017年の第16回写真「1_WALL」展に、インドのカースト制度、貧困、学歴社会をテーマにした作品《Bird, Night, and then》で応募し、グランプリを受賞。「1_WALL」では、社会で起こる事象を構造的にとらえた視点や、フィクションとノンフィクションを交錯させる編集力、写真媒体の活用の巧みさなどが評価された。2018年には自身初の個展、第16回写真「1_WALL」グランプリ個展「"Suppressed Voice"」をガーディアン・ガーデンにて開催。

 また、「第8回大理国際写真展」にて最優秀新人写真家賞を受賞(2019、中国)、アルル国際写真祭「The Luma Rencontres Dummy Book Award Arles」ショートリスト入り(2019、2022、フランス)、『British Journal of Photography 』が選ぶ今年注目の写真家(2021、イギリス) に選出されるなど、世界各国で作品を発表し評価を得ている。

 これまで、貧困や自殺の連鎖、スティグマ(特定の属性や事象への差別・偏見)といった千賀自身の身近に存在する社会問題を起点に、その問題を引き起こす構造や関係者それぞれの視点を顕にする作品を発表してきた。

 本展では、2019年から約3年間にわたり千賀がリサーチしてきた特殊詐欺を取り巻く社会構造や個々人をテーマとし、写真、映像を含むインスタレーション作品を展示。特殊詐欺の被害額が最大となった2014年から、千賀が初めてこのテーマで作品を発表した2021年まで被害は減少傾向にあったが、コロナ禍を経て2022年には8年ぶりに増加した。本展では、被害が増加した背景にある社会や時代の変遷から影響を受けた個々の生活の変化に焦点をあてる。