EXHIBITIONS

ハタノワタル展 「おかえり」

gallery ON THE HILL
2024.02.09 - 02.18

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 gallery ON THE HILLで、ハタノワタルによる個展「おかえり」が開催される。

 ハタノは兵庫県の淡路島生まれ。現在は京都府綾部市を拠点に黒谷和紙作家として活動している。多摩美術大学で油絵を学んだハタノは、在学中に絵画の支持体として和紙に出会い、丈夫で美しい和紙の素材感に魅了。国内に多くの産地を持つ和紙のなかでももっとも強度があり、どこか懐かしい素朴な風合いを持つ黒谷和紙に惹かれ、25歳の時に黒谷和紙職人としてのキャリアをスタートさせる。 

 ハタノは伝統工芸である紙漉きと、古くから続く日本の暮らしを活動の根幹としている。また、伝統を守るだけではなく、 和紙を素材としたアート制作や内装施工などを通して、多様な和紙の可能性を体現してきた。「すごくシンプルだけど、歳月や職人たちの想いが重なることで美しく輝くもの」といったハタノの美意識は、和紙の歴史と対峙することで育まれたものであり、古といまとをつないでいくことへの憧れでもあるという。

 本展では、個性あふれる展示協力者とともにゆったりと寛げる場をつくり上げた。ハタノにとって「おかえり」という言葉は、自分が落ち着ける場所に戻って来たことを意味し、 昨今では核家族や一人暮らしなどの世帯が増え「おかえり」という言葉も失われていくのではないかと危惧している。 また、心が痛む出来事が相次ぐいまを⽣きる人々に、安らぎと落ち着きを取り戻せる場所を提供したいという。

 本展ではハタノの平面作品「窓からの風景」シリーズや和紙で仕上げた家具を中心に、うつわ(清水善行)、照明( NEW LIGHT POTTERY )、じゅうたん(山形緞通)、スピーカー( listude )で構成された温もりのある空間を展開。