EXHIBITIONS

高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの

2023.09.30 - 12.17

高畑勲 かぐや姫の物語
© 2013 畑事務所・Studio Ghibli・NDHDMTK

「高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの」が、岩手県立美術館に巡回する。

 高畑は、初の長編演出(監督)となった 『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)で、悪魔と闘う人々の団結という困難な主題に挑戦し、その後次々にアニメーションにおける新しい表現を開拓。1970年代には、『アルプスの少女ハイジ』(1974)、『赤毛のアン』(1979)などのTV名作シリーズで、日常生活を丹念に描き出す手法を通して、冒険ファンタジーとは異なる豊かな人間ドラマの形を完成させた。

 1980年代以降は舞台を日本に移して、『じゃりン子チエ』(1981)、『セロ弾きのゴーシュ』(1982)、『火垂るの墓』(1988)、『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994)など、日本の風土や庶民生活のリアリティーを表現するとともに、日本の戦中・戦後の歴史を再考するような作品を制作。遺作となった 『かぐや姫の物語』(2013)ではデジタル技術を駆使して手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現上の革新を達成した。

 本展では、絵を描かない高畑の 「演出」というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫る。