EXHIBITIONS

宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE

2023.09.10 - 11.05

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 練馬区立美術館で「宇川直宏展 FINAL MEDIA THERAPIST @DOMMUNE」が開催されている。

 宇川直宏(1968年~)は、1980年代末より映像作家、グラフィックデザイナー、ビデオジョッキー、文筆家、キュレーターなど多岐にわたる活動を展開している。90年代より活動の舞台を現代アートにも拡張し、国内外で様々な作品を発表。2010年には世界に先駆けてライブストリーミング・チャンネル「DOMMUNE(ドミューン)」を開局し、毎夜、多種多様なトーク、ディスクジョッキープレイ、ライブやトークセッションなどを世界に配信し、国内外の先端的なアートシーンに大きな影響を与えている。

 本展では、13年間のDOMMUNEの膨大な番組アーカイブを紹介するとともに、それらの映像を素材として、絵画や立体作品など、ほかのメディアに拡張・変換・創造し、「描く」という行為の歴史的なアップデートを図る。その過程で介在するのは、宇川自らだけでなく、日々の配信行為に纏わる視聴者と同じく、様々な年齢・多様な背景を持つ人々、そして人工知能だ。アーカイブの様々な可能性を探るとともに、近年広く普及し始めたジェネレーティブAIによる画像生成にも着目し、描くとは何か、今世紀的な作家性や作品のあり方とは何か、もしくはそこから創出される価値とは何かなど「近代・現代・現在美術」を新たにとらえ直すプロジェクトとなるという。

 また、ブロックチェーン、スマートコントラクトによる所有や販売などのプロセスを独自考察し、伝統的なメディアである絵画と同時に、NFT作品の制作も行う。会期中には美術館を舞台としてライブストリーミングを行い、さらなる情報の蓄積を目にしながら番組に参加することが可能だ。毎日大量の人々が行き交うプラットフォームであり、芸術/文化情報の泉源であるファイナルメディア「DOMMUNE」を、様々に変換し時空を錯綜しながら眺める試みは、仮想空間と物理空間の交通、ユビキタスとモバイルによる超分散的サイバー空間の投影など、Web3.0以降の社会を取り巻く様々な問いを、さらに深める機会ともなるだろう。