EXHIBITIONS

辰野登恵子展 - Toeko Tatsuno Exhibition

1980年頃、アトリエにて(写真提供:辰野登恵子マネージメント)

 ギャラリー石榴 南青山Roomで「辰野登恵子展 - Toeko Tatsuno Exhibition」が開催される。

 辰野は1950年長野県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業後、同大大学院修了。大学在学時には、油画科の同級生であった柴田敏雄、鎌谷伸一らとともに「コスモス・ファクトリー」を結成し、アンディ・ウォーホルやロバート・ラウシェンバーグからの影響にもとづき写真製版によるシルクスクリーンを試みた。

 70年代には、当時のポスト・ミニマリズムの動向などへの関心に根ざして、線描の強弱や僅かなにじみなどにより生まれる差異の形象化を、版画やドローイングなどを通して試行。80年代以降は絵画を中心に、アラベスク、ダイヤ、方形、球など、植物的かつ幾何学的なモチーフの連続的なパターンと、油絵具の質感を生かした色彩表現を行った。95年には当時史上最年少の45歳で東京国立近代美術館での個展を開催し、翌年には第46回 芸術選奨文部大臣新人賞を受賞。2000年代以降の画家に影響を与えた。2014年没。

 本展は、東京と長野の2会場にて同時開催。東京・南青山では70年代から80年代まで、長野・松本では90年代から2010年代までの稀少な初期ドローイングや、版画のバリエーションを含む、計30点を展示する。約40年に渡った画家の思考と実践の変遷、連続性を展覧できる展覧会となっている。