EXHIBITIONS

エマイユと身体

フランソワーズ・ペトロヴィッチ 腹話術師 2015 Courtesy of the artist and Semiose, Paris ©︎Kei Okano / Courtesy of Fondation d'entreprise Hermès

 銀座メゾンエルメス フォーラムで、『Savoir & Faire 土』の出版を記念した7人のグループ展「エマイユと身体」が開催されている。

 本展では、陶芸に用いられ、火と空気によってガラス質へと変容するエマイユ(釉薬)に注目し、7人のアーティストがエマイユのもたらす色彩や効果を用い、身体を見つめて制作した作品を紹介する。

 ジャン・ジレルは風景画を、フランソワーズ・ペトロヴィッチは光沢豊かな表面を持つ動物を制作。安永正臣は灰や骨の物質感を重視した造形を行い、シルヴィ・オーヴレは日常をフェティッシュな箒で表現する。

 また、エマイユの被膜効果は人間の皮膚やその下の内面を想起させる。ユースケ・オフハウズは自分の記憶だけを頼りに小さな建築物を建て、内藤アガーテはセラミックを自身が隠れるものとして用いる。小川待子は大地や水に還元されるかのような白い地層をつくりだす。

 エマイユに刺激された作家たちがつくり出す、独特の世界を体感できる展覧会となっている。

 エルメス財団は、自然素材をめぐる職人技術や手わざの再考、継承、拡張を試みる「スキル・アカデミー」の一環として、書籍『Savoir & Faire 土』(岩波書店)を出版する。本書はアクト・スッド社とエルメス財団の共同編集による仏語版『Savoir & faire La terre』(2016)から選ばれたエッセイやインタビューの翻訳と、日本の作家による8つのオリジナルテキストやインタビュー、ポートフォリオが掲載される予定だ。

 参加アーティストはシルヴィ・オーヴレ、ジャン・ジレル、内藤アガーテ、ユースケ・オフハウズ、小川待子、フランソワーズ・ペトロヴィッチ、安永正臣。