東京・元麻布のKaikai Kiki Galleryで陶芸作品を中心に制作する上田勇児の個展「種を拾う」が開催されている。会期は12月24日まで。
上田勇児は1975年滋賀県生まれ。焼き物と日本茶で知られる信楽の茶農家に育ち、現在は同地に住居と仕事場を構え作陶を行う。様々な焼きの実験を重ね、釉薬の原料である長石を塊のまま使用したり、粘土を表面に被せ窖窯(あながま)で焼成したりするなど、独自の手法を開発。18年11月にKaikai Kiki Galleryで開催された「ひびき合う土の記憶」では、100点を超える新作を発表した。
上田は今年の6月末に、2015年から5年ほど使っていた窯を解体し、新しい窯の制作に着手したという。本展では、Kaikai Kiki Gallery代表の村上隆と上田が、毎日のように密にやりとりをするなか生まれた、強度のある作品が発表される。
前回の個展「ひびき合う土の記憶」は、ラッパーのカニエ・ウェストがすべての作品を買い上げ、すぐに持ち帰りたいという要望のために4日で閉幕になったという記録がある。村上が「10年後、50年後の遠い未来に見ても、今見えている鮮度がキープされているはず」と評する上田の作品の真髄を、改めて感じられる展覧会となる。