EXHIBITIONS

末盛千枝子と舟越家の人々ー絵本が生まれるときー

2023.04.15 - 06.25

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ピアノ調律師 作 M.B.ゴフスタイン 訳 末盛千枝子 すえもりブックス、2005年現代企画室より復刊

舟越保武 聖フェリッペ・デ・ヘスス (長崎26殉教者記念像のうち) 1962 岩手県立美術館所蔵

舟越直木 Drawing 1987 世田谷美術館所蔵

 市原湖畔美術館で 「末盛千枝子と舟越家の人々ー絵本が生まれるときー」が開催されている。

 末盛千枝子は1941年東京都生まれ。日本を代表する彫刻家・舟越保武の長女であり、4歳から10歳まで父の郷里・岩手県盛岡市で過ごした。慶応義塾大学を卒業後、絵本の出版社に勤務。最初に出版した 『あさ One morning』でボローニャ国際児童図書展グランプリを受賞する。1988年には 「すえもりブックス」を立ち上げ独立した。

 また、美智子上皇后の講演録の編集者としても知られる末盛は、まど・みちおの詩を美智子上皇后が選・英訳された 『どうぶつたち THE ANIMALS』や、講演をまとめた 『橋をかける 子供時代の読書の思い出』などの話題作を次々に出版していった。2002年から2006年まで国際児童図書評議会(IBBY)の国際理事を務め、2014年には名誉会員に選ばれる。

 末盛は2010年に岩手県へ移住しており、2011年からの10年間 「3.11 絵本プロジェクトいわて」の代表を務めた。 「絵本は子どもだけのためのものではない」という思いのもと、人生の悲しみや希望、美しさを伝える多くの絵本を世に送り出し、東日本大震災では被災地の子供たちに絵本を届ける活動を行っていた。

 主な著書に 『人生に大切なことはすべて絵本から教わったI、 II』(現代企画室)、 『ことばのともしび』(新教出版社)、 『小さな幸せをひとつひとつ数える』(PHP研究所)、 『 「私」を受け容れて生きる』(新潮社)、 『根っこと翼・皇后美智子さまという存在の輝き』(新潮社)などがある。

 本展では、末盛が様々な人々との出会いと協働によって生み出した珠玉の絵本の原画や貴重な資料とともに、彼女を育んだ芸術家一家、彫刻家の父・保武、弟・桂、直木、自らの句作を断念し彫刻家の妻として生きた母・道子を初めとする舟越家の人々の作品の数々を一堂に公開。その波乱に富んだ人生と仕事の全容に光を当てている。