ARTISTS
ヨハネス・フェルメール
Johannes Vermeer
ヨハネス・フェルメールは1632年オランダ・デルフト生まれの画家。現存する作品は35点とされ、ほぼいずれも制作年が記されていない。また、徒弟時代の正確な史料が残されておらず、誰に師事したかも不明。画業は、宗教画や神話画から始まり、聖書の一場面を題材とした《マルタとマリアの家のキリスト》(1654-55頃)が最初期の作品とされる。《取り持ち女(娼婦)》(1656)を区切りに風俗画に転向。風俗画の初期作《眠る女》(1656-57)はフェルメールの制作姿勢を示すもので、画面に描かれる召使いの女性が実際に眠っているのか、あるいは思考に没頭しているのかを曖昧にし、鑑賞者を絵に引き込む。写実的な描画と光の焦点から、写真の原理に似たカメラ・オブスクラの装置を使用したとされている。
男性を単独で描いた作品は《天文学者》(1668)、《地理学者》(1669)の2点のみ。酒を飲む女性と男性を描いた《ぶどう酒のグラス》(1658-60頃)、《婦人とふたりの紳士》(1659-60頃)などは、飲酒や性的な誘惑に対する戒めを説いている。《窓辺で手紙を読む女》(1657-59頃)、《手紙を書く婦人と召使い》(1670-71頃)といった手紙を題材とした作品は、フェルメール作品の大半を占め、愛のテーマと結びついている。風景画については、《デルフトの小道》(1657-58頃)、《デルフトの眺望》(1660-61頃)が残されている。傑作と位置づけられる《絵画芸術》(1666頃)は、様々な歴史的寓意を巧みに散りばめただけでなく、オランダ絵画に特徴的な、画中にアトリエや自身を登場させる手法により、絵画の独自性をたたえる画家の自信が表れている。
フェルメールは宿屋を営む傍らで筆をとっていたが、経済力に乏しく、亡くなった1675年の翌年に妻のカタリーナが自己破産を申請した。1866年、フランスの批評家テオフィール・トレが『ガゼット・デ・ボザール』誌に偽名で寄稿した論文で再評価される。
男性を単独で描いた作品は《天文学者》(1668)、《地理学者》(1669)の2点のみ。酒を飲む女性と男性を描いた《ぶどう酒のグラス》(1658-60頃)、《婦人とふたりの紳士》(1659-60頃)などは、飲酒や性的な誘惑に対する戒めを説いている。《窓辺で手紙を読む女》(1657-59頃)、《手紙を書く婦人と召使い》(1670-71頃)といった手紙を題材とした作品は、フェルメール作品の大半を占め、愛のテーマと結びついている。風景画については、《デルフトの小道》(1657-58頃)、《デルフトの眺望》(1660-61頃)が残されている。傑作と位置づけられる《絵画芸術》(1666頃)は、様々な歴史的寓意を巧みに散りばめただけでなく、オランダ絵画に特徴的な、画中にアトリエや自身を登場させる手法により、絵画の独自性をたたえる画家の自信が表れている。
フェルメールは宿屋を営む傍らで筆をとっていたが、経済力に乏しく、亡くなった1675年の翌年に妻のカタリーナが自己破産を申請した。1866年、フランスの批評家テオフィール・トレが『ガゼット・デ・ボザール』誌に偽名で寄稿した論文で再評価される。