フランスを代表するアーティストとして知られるクリスチャン・ボルタンスキー。その新たな個展「アニミタスⅡ」が、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催される。
ボルタンスキーは1944年パリ生まれ。生や死、あるいは時間や記憶などをテーマとした作品を次々と手がけ、これまで世界各国で個展を開催。2011年にはヴェネチア・ビエンナーレにフランス館代表作家として参加した。また今年に入ってからは、国立国際美術館を皮切りに、国立新美術館、長崎県美術館で過去最大規模の個展「Lifetime」を開催し、大きな話題を集めている。
本展「アニミタスⅡ」は、フランスのフォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵する作品を紹介する「Hors-les-murs」プログラムの一環として行われるもの。17年に《アニミタス》(2014)と《アニミタス(白)》(2017)を展示したエスパス ルイ・ヴィトン ミュンヘンに続くものとして開催される。
会場で展示されるのは2つの映像作品、《アニミタス(ささやきの森)》と《アニミタス(死せる母たち)》 。スペイン語で「小さな魂」を意味する「アニミタス」は、死者を祀る路傍の小さな祭壇へのオマージュとして、人里離れた広大な野外に設置されたインスタレーションが原点となり、様々なかたちで発展してきた。
シリーズ第1作目では、チリ・アタカマ砂漠を舞台に、風鈴をつけた棒によって、ボルタンスキーが誕生した日に南半球で見られた星空を再現。同作はその後、同じ配置を基本としながら再解釈され、豊島の《ささやきの森》(2016)、オルレアン島の《白》(2017)、そして死海のほとりの《死せる母たち》(2017)として設置された。
これらのインスタレーションは、ボルタンスキー個人の歴史を、設置する土地そのものの物語とひとつにするという試み。それぞれの《アニミタス》のフィルムは、日の出から日没までをワンカットで連続撮影したものであり、草花の絨毯と組み合わさり上映されることで、ひとつの作品を形成する。
ボルタンスキーの大回顧展とともに開催される本展。美術館とは違う空間で、ボルタンスキーの核となる作品を堪能したい。