エレガントさだけでなく、“世界で唯一走れるピンヒール”として高く評価されるシューズブランド「マノロ ブラニク」。1970年代にロンドンでショップをオープンさせて以来、多くのセレブやファッショニスタを魅了し続けている。
また、人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」では、主人公キャリーの愛してやまない靴として描かれ、映画「マリー・アントワネット」では衣装協力としてその足元を彩るなど、「マノロ ブラニク」は女性にとっての“夢の靴”の象徴。そのデザイナー、マノロ・ブラニクの魅力と創作の裏側に迫るドキュメンタリー『マノロ・ブラニク トカゲに靴を作った少年』が公開される。
“夢の靴”の秘密に迫るため、カメラはマノロのイタリア・ミラノにある工房(アトリエ)、そしてイギリス・バースの閑静な自宅へ潜入。熱狂的なブームの渦中にありながら、「工房で過ごす時間が人生の喜び」と、徹底して職人たちとハンドメイドでの制作を続けるマノロ。本作ではその完璧な靴を生み出すマノロの一風変わった思考プロセス、繊細で美しいスケッチ、そしてそれを手仕事で形にする職人たちの姿が描かれる。
映画タイトルの由来は、生まれ故郷のスペイン・カナリア諸島の庭園を駆け回り、トカゲのためにチョコレートの包み紙で靴を作っていた少年期のエピソード。その自然を愛でる姿勢は、いまだにインスピレーションの源になっている。
本作には、ブランドの愛用者としてアメリカ『ヴォーグ』誌の編集長アナ・ウィンターや、歌手のリアーナ、シューズデザイナーのシャーロット・オリンピア、ファッションデザイナーのジョン・ガリアーノらが登場。さらに、かつてマノロとともに『ヴォーグ』誌の表紙を飾ったアンジェリカ・ヒューストンは彼のチャーミングなプライベートを語る。
監督はマノロの長年の友人、マイケル・ロバーツ。イギリス『ヴォーグ』誌や『ヴァニティ・フェア』誌のエディターやディレクターを歴任し、ファッション業界に長く関わってきた。「彼の魅力的な人柄と、独創的な仕事は、人の心を楽しませる映画の題材にぴったりだ」と語っている。