ニコール・キッドマンやミシェル・オバマ前大統領夫人など、世界のセレブリティに愛されるファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテン。その姿に初めて密着したドキュメンタリー映画が『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』だ。
監督は『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』(1999)で知られるドキュメンタリー監督のライナー・ホルツェマー。3年に及ぶ取材交渉の末、ドリスから撮影許可を取り付けたという。音楽は、2013年に「ドリス・ヴァン・ノッテン2014春夏レディース・コレクション」で音楽を担当したイギリスのロックバンド、レディオヘッドのベーシストを務めるコリン・グリーンウッド。本作で映画音楽を初めて手掛けた。
本作では、パリのグラン・パレで開催された2015春夏レディース・コレクションの舞台裏から、15年越しの交渉の末、実現したパリ・オペラ座での「2016/17秋冬メンズ・コレクション」本番直後までの1年間に密着。ショーの舞台裏はもちろんのこと、アトリエや、インドの刺繍工房など、創作活動の全貌を明らかにする。また、ドリスと公私ともにパートナーであるパトリック・ファンヘルーヴェが住むアントワープ郊外の大邸宅にもカメラが入り、ドリスみずから花園や家庭菜園を案内し、採れたばかりの野菜を手際よく調理する貴重な映像も収められている。
「アントワープの6人」として80年代にデビュー後、いかなる巨大資本にも属さず、独立系デザイナーとして常に第一線に立ち続けてきたドリス。自邸でのあどけない素顔や、アトリエでの「病的な完璧主義者」としての一面を通して、世界的デザイナーをより身近に感じることができるだろう。