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國府理《水中エンジン》が伝える現代社会の「脆さ」。遠藤水城らによる再制作版が公開

2014年に事故により逝去したアーティスト・國府理が、東日本大震災による原発事故に影響を受けて制作した作品《水中エンジン》がインディペンデント・キュレーターの遠藤水城らにより再制作され、京都のアートスペース虹で展示される。展覧会は7月4日〜16日と18日〜30日の前後期に分けて開催。

國府理 水中エンジン 2012 / 再制作(水中エンジン再制作実行委員会による・オリジナルからの部品を含む) 2017撮影=木奥惠三 小山市立車屋美術館での展示風景

 國府理は1970年京都府生まれ。自動車や自転車、パラボラアンテナなどの工業製品を用い、自然と人工のコントラストや、エネルギーの循環を可視化するような作品を制作していたが、2014年、展示作品の点検中の事故により44歳で逝去した。

 《水中エンジン》(2012)は、國府が愛用していた軽トラックのエンジンを水中に沈めて稼働させるという作品で、東日本大震災による原発事故をきっかけに制作されたもの。熱源を水で冷却しながら稼働するという原子力発電所と同じ構造を持つこの作品を、國府は会場で自らメンテナンスを続けながら展示し、冷やし続けなければ暴走してしまうエネルギーの存在と、それを維持するシステムの脆さを浮かび上がらせた。

 《水中エンジン》の再制作は、インディペンデント・キュレーターの遠藤水城を中心としたプロジェクトメンバーにより進められており、今回、オリジナルの作品が初めて展示された京都・アートスペース虹で再び展示が行われる。作品を忠実に再現する通常の「再制作」とは異なり、本展は、この作品の「脆い」状態を再現するものになるという。

 会期中には、遠藤が聞き手となり、美術評論家の椹木野衣や批評家の浅田彰をゲストに迎えたトークイベントも開催される。

編集部

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