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2018.6.22

内藤礼が過去最大規模の
個展を水戸芸術館で開催。
自然光のみでの展示を初めて実践

水戸芸術館が美術家・内藤礼の個展「内藤 礼—明るい地上には あなたの姿が見える」を開催する。本展は内藤にとって過去最大規模の個展であり、また、初めて自然光のみでの展示を実践するという点からも注目が集まっている。会期は7月28日〜10月8日。

内藤礼 ひと 2012 ギャラリー小柳 撮影=木奥惠三
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 内藤礼は1961年広島県生まれの美術家。85年に武蔵野美術大学造形学部視覚伝達デザイン学科を卒業。現在は東京を拠点に活動している。

 91年に佐賀町エキジビット・スペースで発表した「地上にひとつの場所を」で注目を集め、97年には第47回ヴェネチア・ビエンナーレの日本館にて同作品を展示。フランクフルトのカルメル会修道院での「Being Called」(1997)や、東京都庭園美術館での「信の感情」(2014)など、歴史的な場所で個展を開催してきた。

 内藤は一貫して「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」という問いかけをテーマに制作している。「きんざ/このことを」(2001、直島・家プロジェクト)や「母型」(2010、豊島美術館)など、自然や建築空間と呼応するパーマネント作品も手がけており、それらに一貫される「永続する自然の動きと私たちとを貫く連続性」を可感化したスタイルは、国内外で高い評価を得ている。

無題 2009(2008-) 神奈川県立近代美術館 鎌倉 撮影=畠山直哉
内藤礼 無題(母型) 2008 三渓園 横笛庵、神奈川(横浜トリエンナーレ2008) 撮影=畠山直哉

 国内において14年以来の個展であり、過去最大規模となる「内藤 礼—明るい地上には あなたの姿が見える」展では、「光」を作品の根源のひとつとしてきた内藤自身の旨により、初めて自然光のみでの展示を実践。光と生命と芸術がけっして分別されえない「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出すことを試みるという。

 これまでも、光、空気、風、水、重力といった無尽蔵の自然と、それらがもたらす色彩や音を受けとる地上の生を見つめ、空間作品として昇華してきた内藤。自然光とともに構成される新作群に期待したい。

内藤礼 タマ/アニマ(わたしに息を吹きかけてください) 2005 アサヒビール大山崎山荘美術館 撮影=森川昇