近代日本画の巨匠、横山大観の代表作が集まる展覧会が東京国立近代美術館にて開催される。
明治期、第1期入学生として東京美術学校(現・東京藝術大学)に学んだ大観は、理想や概念を絵にする「理想画」、輪郭線を描かずに絵画を組み立てる「朦朧体」などに取り組んだ。日本画の基本であった墨線を否定した作風は当時の批評界では否定的にとらえられたが、大正期には一転、東洋の伝統に新たな感覚を吹き込む実力者としての高評価が定着した。
1913年、学生時代からの師・岡倉覚三(天心)が亡くなった後は、有名無実化していた美術団体「日本美術院」を再興し、若手を率いた。そして昭和期、「東の大観、西の栖鳳」として、京都の竹内栖鳳と並んで画壇を代表する画家になった大観。代表作として知られる多くの作品は、この時期に生み出されている。
本展では、大観の水墨技法のすべてが注ぎ込まれた40メートル超の日本一長い画巻《生々流転》(重要文化財)が一挙公開されるほか、絢爛豪華な《夜桜》《紅葉》を同時に展示。こうした代表作に加え2017年、約100年ぶりに発見された《白衣観音》《彗星》などの新出作品や習作などの資料91点が一堂に会する貴重な機会となる。
なお本展は2018年6月8日〜7月22日、京都国立近代美術館に巡回予定。