毎年、現代美術を取り上げた展覧会を開催してきた慶應義塾大学アート・センターでは、2014年より「ショーケース・プロジェクト」を開催してきた。これは、作家とのディスカッションをベースに、展示ケースと印刷物を一体の作品として創出させる試みで、これまでに冨井大裕、志村信裕、大竹伸朗が参加。展示ケースという決められたフォーマットのなかで多様な表現を見せてきた。
今回で第4回となる「ショーケース・プロジェクト」は、河口龍夫を出展作家に迎えた。1940年兵庫県生まれの河口は、80年代から「関係—種子」シリーズを展開。種子とあらゆるものを銅や鉛、蜜蝋で封印し、物質と人間の関係性について考察を重ねてきた。
今回の展示では、貝殻やと種子、飛行機と種子を組み合わせペイントを施した作品や、ポスター作品、水槽などを使用ながら、ショーケースとしての新たな展開をつくりだした。「もの」の本質に向き合い、その関係を問い続けてきた作家ならではの発想と挑戦が提示される。