Museum from Home:西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」

新型コロナウイルスの影響で、会期途中で閉幕した展覧会や臨時休館となってしまった展覧会などの展示風景を紹介する「Museum from Home」。第21回は、4月8日より休館となっている西宮市大谷記念美術館の「メスキータ展」をご紹介します。

西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」エントランス
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 2019年に東京ステーションギャラリーにて開催された、サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(1868〜1944)の日本初回顧展「メスキータ展」。同展は、西宮市大谷記念美術館にも巡回している。

 オランダ出身のメスキータは、ポルトガル系ユダヤ人の家庭に生まれ、1893年頃から作品の制作をスタートさせた。画家、版画家、そしてデザイナーとして活躍する傍ら、1902年からは美術学校の教師として多くの学生を指導。マウリッツ・エッシャーはその教え子なかでも特に大きな影響を受けたひとり。メスキータの作品に似通った版画を制作していたといい、教え子のなかでも特に大きな影響を受けている。

 メスキータが多く手がけたのは、白黒のコントラストが特徴的な版画作品。ほかにも、自由に筆を走らせた膨大な数のドローイングや、幾何学的な構成を生かして雑誌の表紙や挿絵、染色のデザインを手がけるなど、多岐にわたる作品を残している。

 ユダヤ人であったメスキータは、ナチスのオランダ侵攻によって強制収容所に送られ、1944年に家族とともに殺害される。しかし、教え子であったエッシャーとその友人たちは、メスキータのアトリエに残された作品を持ち帰って命がけで保管し、戦後はその名前を後世に残すために尽力した。

 同展は、エッシャーたちが命がけで守ったメスキータの作品が一堂に会する、貴重な展覧会となっている。

西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より
西宮市大谷記念美術館「メスキータ展」展示風景より