富山県美術館の「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」は、ゲストキュレーターに森村泰昌を迎え、コレクションを使用した企画展。
本展は時系列や技法で区別する「一般的な」展示ではなく、コレクションを大胆に構成した展覧会。常識にとらわれないことの重要さや、視点や発想の転換のわくわく感を伝えたいという森村の「本気のあそび」の精神を伝える。
第1章では、誰も見たことのない作品の「裏側」に注目。同館が修復や額の変更をきっかけに得た裏側の情報からは、作家の苦心の跡などを読み取ることができ、作品を身近に、あるいは生々しく感じることができる。続く第2章では、倉俣史朗《ミス・ブランチ》(1988)などの椅子を、「座る」という目的から解放するインスタレーションを展開する。
また森村のセルフ・ポートレイト作品からは、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールといった芸術家やその作品に扮した作品を紹介。とくにミロの作品に扮したものは初公開となる。合成などのテクニックを使うのではなく、森村が作品をじっくりと見て文献を読み、セットをつくり、自ら「なりきった」作品群からは、本物の作品とは異なる本気さと、その新たな解釈を読み取ることができるだろう。