Museum from Home:富山県美術館「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」

新型コロナウイルスの影響で、会期途中で閉幕した展覧会や臨時休館となってしまった展覧会などの展示風景を紹介する「Museum from Home」。第27回は、会期の途中で中止となった富山県美術館「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」をご紹介します。

「その6 もりむらびじゅつし はくぶつかん ほんきでまねると ほんものになる」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
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 富山県美術館の「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」は、ゲストキュレーターに森村泰昌を迎え、コレクションを使用した企画展。

 本展は時系列や技法で区別する「一般的な」展示ではなく、コレクションを大胆に構成した展覧会。常識にとらわれないことの重要さや、視点や発想の転換のわくわく感を伝えたいという森村の「本気のあそび」の精神を伝える。

 第1章では、誰も見たことのない作品の「裏側」に注目。同館が修復や額の変更をきっかけに得た裏側の情報からは、作家の苦心の跡などを読み取ることができ、作品を身近に、あるいは生々しく感じることができる。続く第2章では、倉俣史朗《ミス・ブランチ》(1988)などの椅子を、「座る」という目的から解放するインスタレーションを展開する。

 また森村のセルフ・ポートレイト作品からは、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールといった芸術家やその作品に扮した作品を紹介。とくにミロの作品に扮したものは初公開となる。合成などのテクニックを使うのではなく、森村が作品をじっくりと見て文献を読み、セットをつくり、自ら「なりきった」作品群からは、本物の作品とは異なる本気さと、その新たな解釈を読み取ることができるだろう。

「森村泰昌のあそぶ美術史―ほんきであそぶとせかいはかわる―」展入口にて、森村泰昌 撮影=蓮沼昌宏
「その1 かいがの てんじしつ ひっくりかえす」の展示風景より、ジャクスン・ポロック《無題》(1946)
※写真正面は裏側 撮影=蓮沼昌宏
「その2 イスの てんじしつ いたずらも たまにはちょっと やるといい」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その2 イスの てんじしつ いたずらも たまにはちょっと やるといい」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その3 やまのえがならぶ てんじしつ みんな ちがっているから おもしろい」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その4 オブジェの てんじしつ いしころの こえをきく」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その4 オブジェの てんじしつ いしころの こえをきく」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その4 オブジェの てんじしつ いしころの こえをきく」より、「もりむらやすまさ コレクション」の展示風景
撮影=蓮沼昌宏
「その4 オブジェの てんじしつ いしころの こえをきく」より、「もりむらやすまさ コレクション」の展示風景
撮影=蓮沼昌宏
「その5 りったいさくひんの てんじしつ おおきなうちゅうは ちいさなはこの なかにある」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏
「その6 もりむらびじゅつし はくぶつかん ほんきでまねると ほんものになる」の展示風景 撮影=蓮沼昌宏