ゲーム、パフォーマンス、そして社交の場
6階は、会期中のライブパフォーマンスの中心となるフロアだ。クリスティン・サン・キムによる大型ミューラルを背景に、音楽や身体表現など、多彩なプログラムが展開される。
7階は、来場者が作品に参加する「インタラクティブ・ゲームフロア」。デジタルアートの先駆的なアーティストデュオ、JODIによる《OXO》など、インタラクティブな作品やジェネラティブな作品が紹介される。

同じフロアのシャワーブースでは、デンマーク出身のアーティスト、エスベン・ヴァイレ・ケアーによる長時間のパフォーマンス《Hardcore Freedom》が行われる。本作は2020年、コペンハーゲン・コンテンポラリーで発表されたプロジェクトを出発点とするもの。当時は美術館内にナイトクラブを設置し、継続的なパフォーマンスを通して空間を変化させていった。

今回の東京での発表では、その舞台が旧カプセルホテルのシャワーブースへと移される。作家は、メディアプレビューにて「以前は美術館のなかにナイトクラブを持ち込んだが、今回はパフォーマンスを浴室へと移す試みとなった」と説明した。
ヤエルは、終わりのないパーティーがもたらす高揚感と、パフォーマーの身体的な疲労が同居する点に着目する。仕事のために自宅へ帰る時間さえ惜しむ人々の休息場所として機能してきたカプセルホテルと、自由や幸福を求めながら疲弊していく身体。その関係性が、作品をこの場所で発表する理由のひとつとなっている。
最上階の8階には、音楽と会話を楽しむ「サウンドバー」が登場する。Bar Phaseによるバーを中心に、シアスター・ゲイツの作品、寺内曜子によるサイトスペシフィックなインスタレーション、イ・カンホによる光のインスタレーションなどが集まる。

メディアプレビューでは、このフロアについて、異なる世代や地域、表現媒体を横断する構成が説明された。ロビーは、新しいメディアを用いた作品から陶芸や書といった歴史ある表現まで、できるだけ幅広い芸術のあり方を提示したいと語る。日本の作家を積極的に紹介しながら、世界各地の作家の作品を並置することも重視したという。
世代やジャンルによる序列を設けず、異なる作品がひとつの空間で共存する。そうした構成は、Tokyo Jazz Clubが掲げる即興性や協働という考え方にもつながっている。
8日間で変化し続けるアートの場
Tokyo Jazz Clubでは、展示に加えて、会期中の8日間に49組のアーティストが参加するパフォーマンスプログラムが展開される。サイラス・ゴバービルとBlank Formsが共同でキュレーションを手がけ、コンサート、リスニングセッション、トーク、DJセットなどを館内各所で開催する。
11月3日には灰野敬二によるエレクトロニクス・セットや、アーサー・ジャファのリスニングセッションが予定。また、3日と5日にはフランスのハープ奏者・シンガー、ソフィ・ソリヴォーが登場する。さらに、5日にはアーサー・ジャファとシアスター・ゲイツによる対談が行われ、最終日の8日には芸能山城組の音楽に焦点を当てたリスニングセッションが開催される。

展示される作品のなかには購入可能なものもあり、鑑賞、販売、パフォーマンス、社交といった通常は別々の場所で行われる活動が、ひとつの建物のなかに組み込まれている。
8つのフロアを移動することで異なる作品や音楽、人々と出会い、訪れる日時によって体験も変わっていく。かつて個人のためにつくられたカプセルホテルを、人々が集う一時的な文化空間へと転換するTokyo Jazz Club。その試みが東京のアートシーンにどのような交流をもたらすのか、注目したい。
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