蜂蜜から始まった「粘性」の探究
空気や水をはじめ、私たちを取り巻く物質には様々な「流れ」が存在する。しかし、その運動やそこに作用する力を、私たちが日常的に意識することはほとんどない。高木が粘性そのものに関心を持つようになった出発点のひとつが、蜂蜜だったという。
蜂蜜を撮影した写真には、高木が「重力の線」と呼ぶ薄い直線が現れた。なぜそこに線が写ったのかは高木自身にもわからない。しかし、この予想外の像との出会いが、粘性への関心へとつながっていったという。

また、漆や桐油、食べ物など、異なる粘性を持つ物質も撮影対象になった。高木が興味を示すのは、物質を科学的に分類することではない。「私は物理学者でも科学者でもない」と語るように、粘性についてあらかじめ十分な知識を得てから撮影したわけではない。むしろ撮ることが先にあり、そこで現れた像を手がかりに、後から物理的な現象とのつながりを知っていく。
高木は「全部が発見だった。スタジオが実験室になっていたので、何が写るのかは撮ってみないとわからない。撮ったときにも見えていなくて、制作してみてわかることがたくさんあった」と振り返る。




















