「この時代をどうやり過ごすか?」
そして展覧会の終盤、「この時代をどうやり過ごすか?」を占めるのが、鈴木敏夫による多数の書画だ。
鈴木はスタジオジブリの映画や展覧会で数多くの題字を書いてきた。その関心はやがて、白隠慧鶴の禅画にも向かっていく。白隠への関心は、「禅とジブリ」という企画そのものが生まれるきっかけのひとつにもなったという。

会場には、白隠の禅画を模した掛軸をはじめ、「火垂庵」と題された茶室、そして鈴木が記してきた様々な言葉が並ぶ。その先で来場者を迎えるのが、本展のキャッチコピーにもなっている「この時代をどうやり過ごすか?」という問いだ。

「禅とジブリ」が提示するのは、ジブリ作品のなかに禅思想の「正解」を探し出すことではないだろう。むしろ、作品のなかに存在する割り切れなさや余白をそのまま受け止めながら、目の前にあるものをどう見るのかを来場者自身に委ねている。その意味では、本展自体もまた、ひとつの答えへと鑑賞者を導くものではない。
『君たちはどう生きるか』という問いから、「この時代をどうやり過ごすか?」へ。よく知られたジブリ作品の世界を入口としながら、その背後にある「ものの見方」や「生き方」へと視線を移していく。禅を知るためというよりも、禅を手がかりに、自らの現在を見つめ直すための展覧会となっている。



















