東京・府中の府中市美術館で、画家・松本陽子の美術館における初の大規模個展「松本陽子 宵の明星を見た日」が開幕した。会期は7月12日まで。担当は同館学芸員の神山亮子。なお同館での開催終了後は、いわき市立美術館(9月12日〜11月1日)、神奈川県立近代美術館 葉山(11月28日〜2027年2月28日)にも巡回する予定だ。
松本陽子は1936年東京都生まれ。60年に東京藝術大学美術学部絵画科を卒業し、67年から約1年間アメリカに滞在。帰国後、アクリル絵具と綿のローキャンバス(下地塗りの施されていないキャンバス)による独自の表現手法で、ピンクを主調とした絵画群を制作。2000年代には油彩画に本格的に取り組み、緑や黒、青などを用いた絵画を描き出してきた。
本展は、1950年代末の初期作品から、90年代のアクリル絵具による作品、そして2000年代以降の油彩画まで、作家本人とともにリストアップした35点とドローイング15点で構成。全5章を通じて、松本の65年におよぶ画業を辿る内容となっている。
青き明星 2012-2026
章立ては作品群ごとに分けられているものの、必ずしも時系列に沿った構成ではない。最初に展開されるのは、「青き明星 2012-2026」と題された、最新作を含む近作を紹介するセクションだ。

帰国後はアクリル画を中心に制作していた松本だが、2000年代に入ると本格的に油彩画へと回帰するようになる。緑や白といった色調を用いた作品を手がけ、また、その画面上に徐々に現れはじめた青色をメインに据えた作品《宵の明星を見た日》(2023)を、2024年にロンドンのWhite Cube Mason’s Yardで開催された展覧会で初発表し、高い評価を得た。この作品タイトルが、本展の展覧会名に起用されている。

会場では、青色を基調とした最新作《植物に視つめられる私》(2026)も紹介。2021年以降、松本にとって一層強い関心対象となった「植物」がタイトルに入った本作は、印象的な青色の合間に白、黒、淡い青、ピンクが立ち上るように描かれている。画面左上部ではそれらの色彩が横へと伝うように描かれており、有機的な植物のダイナミックな動きを想起させる。
































