棟方志功の軌跡をたどる展覧会が府中市美術館で開催。連作と大作で見る「板画」の真髄とは?
女性や菩薩の姿を描いた力強い板画で知られる棟方志功。独自の表現を模索し続けたその軌跡を、連作と大作に着目して紹介する展覧会が東京・府中市美術館で開催される。会期は5月25日〜7月7日。
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棟方志功は1903年青森県生まれ、75年没。油彩画家を目指して21歳で上京するも、帝展で落選を重ねる。しかしその後木版画の制作を始め、28年には日本版画協会展で初入選。39年に制作した《二菩薩釈迦十大弟子》は、鋭利で力強い彫りの跡や白と黒の対比によって、現在も棟方の代表作として知られている。
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45年には東京大空襲で自宅を焼失し版木の多くを失うも、戦後は国内外の展覧会に多く出展。55年に第3回サンパウロ・ビエンナーレでメタルールジカ・マタラッツォ賞(版画部門最高賞)を、翌年に第28回ヴェネチア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞するなど、日本を代表する版画家として不動の地位を確立していった。
自らの木版画を「板画」、つまり板のなかから生まれた絵画と称した棟方。本展ではそんな棟方板画の全貌と真髄を、青森・棟方志功記念館の所蔵作品でたどる。
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出展作品は、岡本かの子の詩に寄せて女性への礼賛をうたいあげた連作《女人観世音板画巻》、青森県庁舎の玄関ホールに掲げるべく制作された《花矢の柵》、人物像が輪舞する幅13メートルの大作《大世界の柵 坤 人類から神々へ》など。
棟方による連作と大作に注目し、その軌跡をたどろうとする本展。仏教の世界観や広大な宇宙観、人間の素朴な感情をダイナミックに表現した作品群からは、「板画」の真髄を感じることができるだろう。
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