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開館50周年記念「モダンアートの街・新宿」(SOMPO美術館)開幕レポート。新宿ゆかりの芸術家たちの半世紀にわたる軌跡をたどる【4/4ページ】

 シュルレアリスムに関心のあった寺田の作品から連続するように構成された第4章は「阿部展也と瀧口修造 美術のジャンルを越えて」と題される。

 本章では、第1回モダンアート展への出品を機に阿部展也を名乗った阿部芳文と、西落合へ移った評論家・美術家の瀧口修造に着目。日本における初期のシュルレアリスム表現として記念碑的に位置付けられる作品である、阿部と瀧口の共作詩画集『妖精の距離』が展覧されている。

展示風景より、阿部展也(芳文) / 瀧口修造 詩画集『妖精の距離』(1937、国立国際美術館蔵)

 また会場では、阿部のもとに集まり、瀧口の命名により結成された「実験工房」のメンバーによる作品も展示。絵画や写真、彫刻、音楽、映像、舞台、詩などジャンルを横断する活動を展開した彼らの作品から、絵筆で描くことから距離を置き、新しい手法を絵画に取り入れる試みがあったことを知ることができる。また実験工房のメンバー以外にも、芥川(間所)紗織、宮脇愛子など、阿部に師事していた当時の作家の作品が紹介されている。

展示風景より、左:芥川(間所)紗織《女》(1954)、右:福島秀子《Work》(1960、両作品とも板橋区立美術館蔵)

 最後のエピローグ「新宿と美術の旅はつづく」では、新宿生まれの作家・清宮質文の作品が紹介されている。はかなく繊細なモチーフを、木版画やガラス絵などの小さな作品で表現する清宮の代表作《深夜の蝋燭》では、世の虚しさを表す「ヴァニタス」の象徴的モチーフである蝋燭が描かれる。開館50周年を記念する展覧会の第1弾として、ときに華やかな当時の新宿のアートシーンにも注目してきた本展が、最後を清宮の作品で静かに締めくくる意味を考えたい。

 近代美術の大きな拠点のひとつでもあった新宿は、今後どのように変化していくのだろうか。展示を見た後に、実際に新宿の街を歩きながら、これからの新宿の姿について想いを馳せてみてはいかがだろうか。