中村彝の時代では海外渡航が難しかったが、社会が変化してきたことで海外との繋がりを持ちやすくなっていく。そこで、続く第2章「佐伯祐三とパリ / 新宿 往還する芸術家」では、パリと日本を行き来しながら制作を展開した作家、佐伯祐三が紹介される。1924年に、佐伯は家族とともにパリへ渡り、里見勝蔵を訪問。その際モーリス・ド・ヴラマンクに出会い、その場で作品を見せたところアカデミックだと非難される。それを機に佐伯は写実表現をやめ、都市風景を速記的に描く画風を確立させた。
生涯を通じて自画像を描いた佐伯の、自画像代表作と言われる《立てる自画像》はそんな1924年に制作された。全身像が描かれる構図は、佐伯のほか作品と比較してもユニークなものである。


また本章では、佐伯と同世代であり、若くしてパリへ渡った日本人作家として東郷青児も紹介されている。1976年に東郷青児美術館として出発した同館は、当然ながら東郷作品を多く所蔵しているが、本章では、第15回二科展に特別陳列されたうちの一点である《ピエロ》が紹介されている。

2つ目のコラム「描かれた新宿」では、昭和初期に刊行された版画集である『画集新宿』と『新東京百景』を中心に、同時代に描かれた新宿や、新宿を生きた作家たちの作品が特集されている。当時の新宿の都市生活、娯楽、名所旧跡などの様子を現在と照らしあわせながら鑑賞するのもおすすめだ。




















