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モーリス・ド・ヴラマンク

Maurice de Vlaminck

 モーリス・ド・ヴラマンクは1876年フランス・パリ生まれ。フォーヴィスムの画家。音楽家の両親を持ち、16歳のときに家出をしてシャトーで暮らす。運動神経の良さを生かし、自転⾞レースにも出場。家族を養えるだけの収入を得ることができ、18歳で結婚する。病気を患ったためレーサーを断念し、20歳で軍楽隊に入隊してコントラバス奏者として活動。同じ頃、画家のアンドレ・ドランと知り合い、のちにアトリエを共有して独学で絵を描く。1901年に開催されたフィンセント・ファン・ゴッホの回顧展を鑑賞し、感銘を受ける。05年、2人のアトリエを訪れたアンリ・マティスの勧めでサロンに出品。マティス、ドラン、ヴラマンクの作品が展示された一室の色彩が強烈だったことから「野獣(フォーヴ)の檻」と批評され、「フォーヴィスム(野獣派)」が誕生するが、それは短命に終わり、おのおのが新たな絵画を模索。07年のポール・セザンヌの回顧展を機に、関心を色彩から画面構成へ移しつつも完全にキュビスムに向かうことはなく、抑えた色調と素早い筆遣いで独自の画風を確立する。25年にパリ郊外に転居。家族との静かな暮らしのなかで身近なものや花、風景などを主題に制作を続ける。また20代の頃より取り組んでいた文筆活動を活発化させ、20点以上の著作を発表する。1958年没。