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「国松希根太 連鎖する息吹」(十和田市現代美術館)開幕レポート。自然と向き合い連鎖する創作の息吹【5/5ページ】

 奥入瀬を下るように廊下を戻る途中の左手に、青い壁面で囲われた小さな展示空間がある。ここでは、国松希根太が、画家であった祖父・登、彫刻家の父・明日香につらなる系譜として紹介されている。3人はいずれも北海道を代表する芸術家で、制作方法や素材は異なれど、移ろいゆく北の自然や風土に寄り添う姿勢、そしてそれらを抽象化し独自の解釈で表現する制作スタイルが共通している。ここで紹介されている国松の作品は、木材を使った即興的な制作スタイルにいたるきっかけの作品となっている。

 さらに曽祖父の美登里は秋田県本荘(由利本荘市)を拠点に、本荘こけしの工人(職人)として活動した後、北海道で古美術商を開業している。国松は、2025年秋の十和田滞在中に、由利本荘をはじめルーツをたどる秋田の旅に出た。そんな背景から、国松家のルーツに着目した企画が展開されている。

展示風景より
展示風景より、国松希根太《シズクノオドリ》(2003)

 同館内にあるカフェ&ショップ「cube」でも、国松の活動が紹介されている。国松が拠点とする北海道白老町にある「飛生アートコミュニティー」は、2026年に設立40年を迎える。このスペースでは、「飛生アートコミュニティー」の40年の歩みを知ることができる。またその活動のなかで展開されている、近隣のアヨロと呼ばれる地域を中心に土地を探索するフィールドワーク「Ayoro Laboratory」についても紹介があり、多岐に渡る活動の様子を知ることができる機会となっている。

カフェ&ショップ「cube」で展開されている「飛生息吹|TOBIU IBUKIーー飛生アートコミュニティーの40年」の様子

 国松にとって美術館での初個展となった本展は、国松が自然やその土地に深く向き合い、創作を続ける姿勢が強く伝わるものであった。またその姿勢が、本展をサポートした地域の人々にも波及しており、本展を見るために美術館を訪れ、アートに触れる機会が持てたという声もあるという。北海道で活動を続けながら、青森という土地での挑戦を経て新たな創作の息吹を連鎖させている国松が、今後どのように活動を展開させるか要注目である。2026年度に設立40周年を迎える「飛生アートコミュニティー」の活動にも、あわせて注目したい。

編集部