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「国松希根太 連鎖する息吹」(十和田市現代美術館)開幕レポート。自然と向き合い連鎖する創作の息吹【4/5ページ】

 巨木の彫刻によるWORMHOLEの空間を抜けると、通路に小さな木の彫刻が7つ並ぶ。「7 sculpture sketches」と題されたこれらは、国松が奥入瀬(おいらせ)の上流に向かう途中で出会った石や岩壁などの形態を、木材を用いながらチェンソーとバーナーでスケッチするかのように制作されたものである。サイズは小さめなものの、ごつごつしたような形状からは、奥入瀬のダイナミックな自然が想像できる。これら7つの作品はすべて、同じヒバの木からつくられている。

 また、奥に進むにつれ展示台が3センチずつ高くなるよう設置されている点にも言及したい。この先にある展示室に向かって、まるで奥入瀬の自然のなかを上っていくような感覚を生み出す工夫がなされている。

「7 sculpture sketches」の展示風景より

 廊下の先に現れる「WORMHOLE一堆積する時間ー」と題された空間には、樹齢151年の奥入瀬のブナを削った作品《WORMHOLE》(2025)が展示されている。本作は国松が十和田で滞在制作したもので、本展のための新作である。このブナは昨年の12月に伐採されたものだが、通常すぐ木材のチップにされてしまうところ、まるで国松との出会いを待っていたかのように十和田の木材屋に残されていたという。

 どの角度から見ても異なる表情が見られる作品だが、会場正面から見える丸くえぐれた形状はカルデラをイメージしている。火山爆発でできた二重カルデラである十和田湖の、雄大な自然へ向き合った国松だからこそできた表現だと言えるだろう。

展示風景より、国松希根太《WORMHOLE》(2025)

 同じ空間には、本展唯一の平面作品《HORIZON》(2025)が展示されている。国松が2009年から展開する「HORIZON」シリーズは、地平線や水平線という地球の輪郭でわかれ、同時につながった世界を描いた平面作品だ。画材の一部に地元の自然素材を使う特徴のあるシリーズだが、十和田湖の風景や地層を念頭にした本作では、奥入瀬川経由で十和田に流れ着いた軽石や土が用いられている。

展示風景より、国松希根太《HORIZON》(2025)

編集部