十和田市現代美術館の新館長にキュレーター・批評家の四方幸子が就任へ

十和田市現代美術館の新館長に、キュレーター・批評家の四方幸子が今年4月より就任することが発表された。なお、現館長の鷲田めるろは、今年3月31日をもって退任する。

四方幸子

 十和田市現代美術館の新館長に、キュレーター・批評家の四方幸子が今年4月より就任することが発表された。なお、現館長の鷲田めるろは、3月31日をもって退任する。

 鷲⽥は 2020年より館⻑に就任。21年には開館以来初めてとなるコレクションの⼊れ替えや展⽰室の増築などを実施したほか、22年には環境問題の深刻化を鑑み、サステナビリティステートメントを発表するなど、次世代に向けた美術館運営を⽬指してきた。 

 7代⽬の館⻑となる四⽅は、2019年から現在に⾄るまで、⼗和⽥市現代美術館のアドバイザリーボードメンバーとして、同館を支援してきた人物だ。また、四⽅は1990年代初頭から、黎明期にあったメディアアートのキュレーションに携わり、多くの先⾒的作品を展覧会やプロジェクトで発表。さらに、22年からは美術評論家連盟の会⻑に就任し、現代のアートシーンの変遷に参与している。そんな四方の館長就任は、同館コレクションのテーマである「⼈間と⾃然」をより⼀層深めていくことにもつながるだろう。 

館⻑就任にあたり四⽅幸⼦より

⼗和⽥から愛をこめて 

4⽉より⼗和⽥市現代美術館館⻑に就任する、四⽅幸⼦と申します。 私は⼗数年来、東北や北海道とご縁をいただき、多くの⽅々にお世話になりながら各地の⾃然や歴史、⽂化に触れ親しんできました。
(中略)
館⻑として私は、美術館のスタッフとともに、常設作品をしっかりケアし、企画展では国内外のアーティストをジャンル横断的な切り⼝で紹介していく所存です。また地域との関係を⼤切にし、参加型プログラムや街なかプロジェクトを展開し、⼗和⽥の⽂化を⼈々とともに育んでいきたいと思っています。
地球温暖化、社会格差、災害、戦争…世界は現在、さまざまな問題や危機に直⾯しています。そのような時代においてアートは、ますます必要不可⽋なものとなっています。多様なアートに触れることで、⼀⼈ひとりが⽇々を創造的に⽣きること。創造的な志向は新たな創造を⽣み出し、⼈々と共有されることで創造の連鎖が⽣まれていくことでしょう。そこから世界は、変わり始めるのです。
創造の連鎖を起こす原動⼒として、私は「愛」を挙げたいと思います。(中略)私たちは、さまざまな存在とつながりながら⽣き、⽣かされています。そのありがたさを感じながら、⼗和⽥から愛をこめてアートを発信していきます。これからも、⼗和⽥市現代美術館をどうぞよろしくお願いいたします。 

(プレスリリースより一部抜粋)
退任にあたり鷲⽥めるろより

私は2020年4⽉に⼩池⼀⼦の後任として着任しました。5年間の任期中、新型コロナウィルス感染症が拡⼤し、臨時休館や⼊館者の減少などの困難もありました。しかし、この間に、開館後初めて常設展⽰を⼊れ替え、新たに塩⽥千春と レアンドロ・エルリッヒの⼤型作品を加えることができました。そして今では、海外を含め、パンデミック以前よりも多くの来館者を美術館にお迎えできるようにまでなりました。
また、弘前れんが倉庫美術館の開館(2020年)、⼋⼾市美術館のリニューアル開館(2021年)をきっかけに、⻘森県内の他の4つの美術施設との連携を進め、2024年には、合同でAOMORI GOKANアートフェス2024を開催できました。
新館⻑の四⽅幸⼦は、エコロジーとメディア・アートに強いキュレーターです。これまで⼗和⽥市現代美術館が常設作品や企画展で⼤切にしてきた「⼈間と⾃然」というテーマが深まるとともに、未来を問うメディア・アートの視点が新たに加わり、さらに魅⼒的な美術館となると確信しています。 今後とも⼗和⽥市現代美術館をどうぞよろしくお願いいたします。 

(プレスリリースより一部抜粋)

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