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「国松希根太 連鎖する息吹」(十和田市現代美術館)開幕レポート。自然と向き合い連鎖する創作の息吹【3/5ページ】

 シナノキを用いた《WORMHOLE》(2025)は中が空洞で、その内側は光を吸収しそうなほど真っ黒になっている。これは腐食が進んでしまっていた木材の内側を削り、その表面を火で炙ったことによるものだ。国松の作品には黒色の部分がたびたび出現するが、これらはすべて着色ではなく、火で炙ることで実現している。

展示風景より、国松希根太《WORMHOLE》(2025)

 会場奥のイチイを使用した《WORMHOLE》(2023)は、一際不思議な模様が目を引く。明るいベージュのような、いわゆる木材と聞いて想像する色味のなかに、オレンジ色がまだらに混ざっている。これは自然がつくり出した模様であり、削るまでわからなかったものだという。また作品のところどころに穴が空いているが、それを覗き込むと巨木の内側がよく見えるように照明が工夫されている。普段見ることのない木の内側を覗き込む貴重な体験ができる。

展示風景より、国松希根太《WORMHOLE》(2023)
展示風景より、国松希根太《WORMHOLE》(2023)の穴を覗いたときの様子

 本展の鑑賞体験で印象的なのは、展覧会でよく見る、作品保護のための結界が張られていないという点だ。つまりぎりぎりまで作品に近寄ることができ、穴を覗くことも、作品を間近で見上げることも、その木材特有の香りに気づくこともできる。作品への接触は控えながらも、ぜひ近づいたり離れたりしながら、様々な距離感で作品と向き合ってほしい。また会場には外光が差し込むため、時間や季節によって変化する作品の表情の違いにも要注目だ。

編集部