第2章「もてなす『能』―住友家の演能と大西亮太郎ゆかりの能道具」は、能の持っていた「もてなす」機能について焦点を当てる。大阪の有力商人であった住友家の当主たちが能をたしなんだのは、武家との交際のためという側面もあった。7代目当主の友輔も能を好み、住友コレクションには友輔が自ら演じた際に着用したものと考えられる能面《妙作尉》(16〜17世紀、桃山〜江戸時代)なども含まれている。

15代春翠も客人をもてなす際に演能を催したが、その舞台をつとめたのが大西亮太郎一門だった。ふたりは謡と仕舞を稽古するとともに、装束だけにとどまらない幅広い諸道具を収集した。会場には、これらの道具が並ぶとともに、亮太郎の勧めにより春翠が購入し「杜若」のキリを舞ったとされる長絹《紫地鉄線唐草模様長絹》(19世紀、江戸時代)も展示されている。




















