画家たちと護立の交流
春草の没後も彼の作品を蒐集するとともに、護立は同時代の画家たちを見出していく。とくに深い親交を結んだひとりが大観で、その付き合いは15歳年上であった彼の死まで長く続いたそうだ。大観の畢生の作《生々流転》(重要文化財、東京国立近代美術館蔵)も護立が入手していたという。
昭和期には小林古径に注目し、たびたびアトリエを訪問して親交を深め、代表作《髪》や《孔雀》を購入している。本展では、こうした交流を感じさせる書簡や資料、画稿が作品とともに紹介される。それらは、画家の人となりやその制作過程を伝えるのみならず、小襖(ふすま)や扇といった生活を彩る身近な品にも及んでおり、多くが護立の注文であったことをうかがわせる。たんなる作家とコレクターの関係を超えた、護立の思い入れが感じられるだろう。

大観が細川家の家令に宛てた送り状とともに

作家没後に遺族から細川家に寄贈されたもの。制作過程がわかる貴重な資料は本画のパネルとともに
護立は、新潟・赤倉温泉の別荘に親しい画家たちを招き、訪問客に渡すための手拭のデザインなども彼らに依頼している。下図と完成品からは、急な求めに苦心しながらも応じてみせる画家と、生活のなかに美を広げていこうとする護立の楽しげな遊び心があふれている。
























