なお、本展最後を飾る特集展示も重要なパートだ。ここでは、印象を語るうえで欠かすことができない画業以外の仕事が紹介されている。
趣味人であった父の影響もあり、若い頃から茶の湯に親しんでいた印象は、掛軸(茶掛)や茶碗や水指、茶釡の図案にいたるまで茶道具も制作。陶芸に関は図案だけでなく茶碗や皿などを自らの手で作陶しており、京都の陶芸家6 代・清水六兵衞とも交友関係にあった。

また、内外装からインテリアのデザインまでも自ら手がけた京都府立堂本印象美術館(1966年開館)の仕事も見逃すことはできない。いまも衣笠に構える同館は圧倒的な存在感を放っており、2025年に国の登録有形文化財に登録された。まさに印象の集大成のひとつであり「最高傑作」(福永)だ。ここはその壁面装飾図案(1967)や、館内用の椅子、そして開館時のポスターなどを見ることができる。


画家としてだけでなく、マルチな活躍を見せた堂本印象。平井研究員は「多作で広範囲な作家であり、これですべてが語れるわけではない」と語るが、それでも本展は印象の全体像をとらえることができる好機だと言えるだろう。なお、鑑賞後は衣笠まで足を伸ばし、堂本印象美術館を訪れることをお勧めする。




















