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堂本印象とは何者だったのか? 「没後50年 堂本印象 自在なる創造」(京都国立近代美術館)開幕レポート【5/7ページ】

 続く4章は、画業の転換機にフォーカスするものだ。第二次世界大戦後、「ピカソ風」絵画の流行を受けたキュビスムの影響が色濃い《八時間》(1951)を制作するなど、当時の美術潮流を敏感に察知しながら画風を変化させていった印象。その画風は、1952年5月から11月にかけてのヨーロッパ遊歴を経てさらに大きく変化した。

展示風景より、《八時間》(1951)
展示風景より、《メトロ》(1953)

 ヨーロッパ遊歴の影響がいかに大きなものだったのか。それは帰国後に描かれた《生活》(1955)や《意識》(1956)を見れば一目瞭然だろう。どちらの作品も、明らかにピエト・モンドリアンの影響を感じさせる幾何学的な画面が特徴的だ。前者にはまだ具体的なモチーフが見られるが、後者は完全に色面で構成されている。この変化にも注目したい。

展示風景より、左から《生活》(1955)、《意識》(1956)

編集部